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甘える子ども

〖お困り〗年少女児。できるようになったことは自ら進んでする子どもに育てたいけれど、やってやってと甘えてきます。しかたなく手伝ってしまうこともあるのですが、できるのにやってあげていいのでしょうか。ママと競争!などうまく促したりすると自分でもやるのですが…。依頼心の強い子どもになってしまわないか心配です。

〖お答え〗この間、園庭の水道のところで、大きい組の人たちが小さい人たちの足を洗ってあげているのを見ました。お水はこれくらいで、とか向こう側も拭くんだとか、一生けんめいに。年長さんになってまだ間もないのに、今まで自分達がしてもらってきたことを、今度は小さい人にしてあげているー。嬉しかったですね。

ただ足を洗う話で、あまり教育的に聞こえないかもしれませんが、幼児の教育は何気ない日常の中にあります。足を洗う、拭く。そこにも教育はあるのです。裸足になって遊んだ後は、たらいに水を入れて事情が許す限り、保育者が洗ってあげています。まだ真夏ではない、少し涼しい日や風のひんやりする日は、水道の水は冷たく感じます。この頃のお子さんは皮膚の弱い人が多いし、ちょっとのことで風邪をひくので、そういう日は水を少なめにしてちょっと足を入れたら出す、というふうにしています。そこまで神経を使う。そして拭いてあげるのですが、ここが問題ー。

幼稚園ですからたくさんお子さんがいます。洗って拭いてあげるのも、一人でなくズラーッと並んでいる時の方が多い。お部屋にもお子さんがいてお部屋も片づけなければならないし、保育者のすることはたくさんあります。子どもたちにさせれば何とか拭けるし、また忙しいからって保育者が雑にパッパッと拭いても、まあそれでも拭いたことにはなるのですが、これが今のお子さんにはたいへんマイナスになります。

拭く以上はきちんと拭いてあげる、今の時代だからよけいに一生けんめい心を使ってやってあげる。心をこめて拭いてもらう感覚を子どもは肌で感じます。両方体験した人はよけい感じるでしょう。一人ひとりにかける神経、心づかいを。

丁寧に手をかけてあげると子どもの心が動きます。前向きに、意欲的になるのです。こういう心の状態にある時、子どもはこちらがこれこれをさせようと思わなくても、自分から考えて自分の力を使おうとします。何かしてあげても、誠意を持ってやってあげなければ、10ある効果が5くらいになってしまう。口ばかり言ってやらせていると、いざという時中味のない行動をするような人になってしまいます(そういう大人いますよね)。

「足」のことだけでなくいろいろありますね。「これを描いて」とか「何か作って」とかー。特にこの頃の人は゛言われればする”ということはできるのです。つき放しても時期が来ればできるようになります。けれど精神的なものが違ってきてしまいます。園で保育者がお子さんに何か作ってあげているー。これは「製作」をしているのではなくて「心を教育している」のです。心でやってあげるのだから、依頼心というものは出てこないのですね。間違いやすいですが、自分でやろうとしているのを止めてお母様やってあげて、と言っているわけではありません。

幼児の教育に一番大切なのは「親切」です。お母様に親切にお世話していただいて悪くなった人はいません。安心して無条件にかわいがってあげてください。