〖お困り〗年中男児。テレビのヒーローごっこが好きで、戦い方がとても乱暴なのですが、子ども同士のことは、大人が口出ししない方がいいのでしょうか。妹の人形を投げたりもします。それも遊びなのでしょうか。叱った方がいいのでしょうか。
〖お答え〗こういう世の中になってしまって、テレビが子どもの一番身近な遊びの対象のようです。剣や銃のデザインを次々に変化させたおもちゃでよくやっていますね。たとえ○○レンジャーごっこのようなものでも”自分で考えて“しているのでしょうから、やめなさいとは言えないですが、「真似だけね」と言っておく必要はあるでしょう。危険ですから。
そしてその遊びをよく見ることが肝心。見ると言ってもしょっちゅう見張ることはできないし、そんなことをしたら見られない方へ行ってしまいますから、家事をしながらも神経を配るのですよ。耳も使って。
で、限度で、もうこれ以上は、と思うある一点があるでしょう。そのタイミングで「あ、それいやね」とか「それなしね」と言う。”その時”言うことが大事。その前でもその後でも効果はないです。
それから、剣を相手に当てようとしたのに空振りした時、褒めましょう。”良い方向に”受け取ってあげるのです。「あ、当てないでえらいわ!真似が上手ねえ!」と。これもタイミングよく心から。たとえうっかり失敗したのであっても、褒められていやな人はいませんからお子さんの心を動かします。「あ、当てないでやろう」と。
なんでもかんでもやる前からダメダメと言う大人がいますが、何も出さず、悪いことは全部ひっこめて、では子どもは育ちません。また、やらせてもやらせっ放しはだめ。よく見ること、タイミングをとらえ言うこと。
”言う”ことですが、問いつめたり、お子さんの目を見つめくどくど説明したりは逆効果。「ああ叱られちゃった」と思うだけです。心は動きません。私たちは人に言われてハイハイとやっていくような子どもではなく、自分の心を動かして自分の頭で考えていく子どもを育てているのです。親なり、先生なりがいつも問いつめていれば、今度はその子どもが誰かを問いつめるようになります。
お人形さんのことも「どうしてそんなことをするの?」とか「かわいそうでしょ」とお叱りになるより、お母様がその時その場に行ってお人形を抱き上げ、「かわいそう」とご自分で表現なさった方がいいです。「きっとお家がないから暴れちゃったんだわ。お家をつくってあげましょ」とか言い方はいろいろあるでしょうが、お母様が自分で自分にひとり言のように言う方が、やってしまったお子さんが自分の心を、頭を動かすでしょう。そしてだんだん考えるようになります。
始めのうちはいろんなことをするでしょうが、だんだん正しく考え、判断できるようになります。これは子どもが人間として成長していく上でいちばん大切なこと。幼児のうちに自分を大いに揺り動かして、中に潜んでいるものを使っていくことで、大人になってもっともっと豊かに幅広くその能力が使えるなるのです。
だから、何でもないように思える日常を大切にしていかないと。やり直しはききませんから。手間がかかることですが、幼児期の今を丁寧に生活しましょう。お子さんがますますかわいくなって、育児が楽になりますよ。